中国の海洋戦略―川村研究所代表/元海将補・川村純彦氏に聞く (Phỏng vấn Viện trưởng viện nghiên cứu Kawamura Sumihiko—Phó Đô Đốc Hải quân-- về chiến lược biển của TQ)

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18/6/2004

Hayakawa Toshiyuki- báo Thế Giới hằng ngày

 

 中国が東シナ海の日中中間線付近で天然ガス田の開発を始めたり、日本の排他的経済水域(EEZ)内で違法調査を行うなど、日本の海洋権益が脅かされている。そこで、沖縄の海上自衛隊第五航空群司令として東シナ海の警戒・監視に当たった経歴を持つ川村

 純彦・川村研究所代表(元海将補)に、中国の海洋戦略や今後の台湾海峡情勢などについて聞いた。(聞き手=政治部・早川俊行)世界日報 掲載許可済み

 

 ――中国の積極的な海洋進出は、どのような戦略に基づいているのか。

 

 現在、改革・開放政策を推し進める中国は、もともと大陸国家であり、毛沢東時代までは「人民戦争戦略」を採っていた。これは、中国の広大な国土に敵を誘い込み、ゲリラ戦で殲滅(せんめつ)するという戦略で、つまりベトナム戦争のような形態を想定して

 いた。

 

 しかし、八〇年代になると、自国に甚大な被害をもたらす人民戦争戦略では、世界の趨勢(すうせい)に対応できないと判断するようになった。そこで、当時の最高実力者・

 小平は、国土の外側で敵を迎え撃つという「積極防衛戦略」を打ち出した。

 

 小平の戦略の範囲を海洋に広げたのが、海軍司令員(総司令官)・劉華清だった。彼

 は八〇年代半ばに「近海積極防衛戦略」を提唱し、海軍の防衛範囲を外側に広げていく努力を開始した。日本周辺海域で活発化する中国艦船の活動は、こうした戦略の一環と見ることができる。

 

 ――中国海軍は「外洋海軍」を目指しているといわれるが。

 

 八五年の中央軍事委員会の決議で、領土主権とともに海洋権益の擁護が初めて公式に承認された。この決議が、それまで陸軍の作戦支援を主任務としていた海軍を沿岸海軍から外洋海軍へと進ませる根拠になった。

 

 戦略の変化により、各軍の重要度にも変動が生じ、最下位だった海軍の地位が最上位の陸軍と逆転した。海軍においては、ロシアからソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦、キロ級潜水艦、スホイ27戦闘機を輸入し、近代化が進められている。

 

 ――中国海軍は具体的にどのような目標を持っているのか。

 

 作戦海域を近海と外洋の二つに分けている。近海の範囲は、日本から台湾、フィリピン、

 マラッカ海峡までで、これを「第一列島線」と位置付けている。外洋の範囲は、小笠原諸島、マリアナ諸島などを含む「第二列島線」だ。

 

 中国海軍は、二〇〇〇年までに近海防衛の艦隊を建設し、二〇二〇年までに外洋での行動能力を確保することを目標にしている。

 

 ――中国の行動には、国連海洋法条約など国際法を無視したものも目立つ。

 

 改革・開放政策の結果、中国は閉鎖的な大陸国家から海洋に依存する通商国家へと変化した。そのため、沿海部の経済都市の防衛や海洋資源の獲得が必要となり、海空軍力を背景に国防圏を自国からできるだけ遠い海空域にまで拡大することを狙うようになった。

 この戦略を裏付ける理論が、「戦略国境」という概念である。これは、そのときの国力や国際環境によって国境は変わるという考え方だ。

 

 ヒトラーはかつて、「国家が生存発展に必要な資源を支配下に収めることは、成長する国家の正当な権利である」として、近隣諸国の併合を正当化したが、これと全く同じ論理だといえる。中国はこの戦略国境を拡大するために、外洋で行動できる海軍力の整備

 を進めている。

 

 ――中国が東シナ海で建設を進めている天然ガス採掘施設は日中中間線の中国側だが、戦略国境の理論だと、いずれ日本側海域でも資源開発を始めるのでは。

 

 戦略国境の考え方からいえば、それは当然のことだ。現在、中間線から中国側四、五㌔のところで開発を行っているが、中国は中間線を全く認めていない。中国の大陸棚は沖縄のすぐそばの沖縄トラフ(海溝)まで続き、そこまでが中国のEEZだと主張してい

 る。

 

 中国がまだ日本側海域で開発を行わないのは、現在、中国にそれができるだけの海軍力がないことと、日本の海上自衛隊の防衛力が抑止しているからだと見ていい。

 

尖閣諸島上陸のシナリオも日本に求められる「覚悟」

 

 ――中国は、東南アジア諸国とも海洋権益をめぐって摩擦を起こしているが。

 

 南シナ海は中国の実効支配下に置かれたといっていい。南沙、西沙諸島の領有権をめぐり、中国、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、フィリピン、台湾が争っていた。中国は島の領有権は二国間問題と主張し、他の国に介入させないようにした上で、一つ一つ手に入れた。ベトナムに対しては、海軍を派遣して力ずくで奪ったこともある。

 

 中国が南沙諸島で占拠した島礁は十二あり、そのうち六カ所で施設を造って守備兵を置いている。フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるミスチーフ環礁も、中国から一千カイリ以上離れていたが、コンクリート製の巨大な建物を造ってしまった。これは米軍がフィリピンから撤退してすぐのことだ。

 

 取り返そうとしても、中国のミサイルによる報復が待っているため、そういう行動は結局は抑止されてしまう。その意味で、南シナ海は中国の池になったと言っていい。

 

 ――尖閣諸島でも同じような事態が起きる恐れがあるのでは。

 

 中国軍がある日突然、尖閣諸島に上陸するというシナリオは十分考えられる。そこで中国は自国の領土を回復したと宣言するだろう。そういう事態になった場合、たとえ後日、

 自衛隊が奪回に成功したとしても、中国がいったん、領土宣言をした島を力で取り戻すわけだから、当然、報復が考えられる。

 

 果たして日本にその覚悟ができているのかどうか。そこまではっきりした意思を固めておかない限り、能力があっても守れない。意思がないと見透かされたら、すぐに上陸されてしまうだろう。

 

 ――中国はタイミングを見ているのか。

 

 そういうことだ。ただ、今の中国には、上陸してくるだけの実力がない。そういう意味では、自衛隊が中国の行動をしっかり抑止していると言える。

 

 しかし、中国は着実に軍事力を増強している。ロシアの戦闘機スホイ27とスホイ30の配備を進めているが、これはF15に近いレベルの戦闘機だ。東シナ海の制空権が簡単には維持できない状況になる可能性がある。

 

 ――海上自衛隊と比べると、現在の中国海軍の能力はどの程度か。

 

 現在、海上自衛隊が圧倒的に優勢だ。海自は哨戒機P3Cを九十機保有しているが、それだけでもすごい戦力だ。六十隻以上ある中国の潜水艦はほとんどが旧式であり、P3Cが捜し出して沈めてしまうまでそれほど時間はかからないだろう。

 

 中国がロシアから購入したキロ級潜水艦は比較的音が静かで、一定の脅威になることが予想される。ただし、通常型潜水艦であるため、充電のため必ず海面に頭を出さなければならない。レーダーに探知されやすく、行動範囲も限られる。原子力潜水艦も時代遅れの代物であり、潜水艦対策は十分立てられる。

 

 水上艦艇に対しても、P3Cが積んでいるハープーン対艦ミサイルの射程距離は約百十㌔もある。中国艦艇の現有対空ミサイルの射程は三十㌔以下だ。P3Cは完全に相手のミサイルが届かないところから攻撃できる。

 

 ただ、怖いのは戦略ミサイルだ。日本に届く性能のものを数十発持っている。また、中国は明確な長期目標を持って、毎年二ケタの伸び率で軍事費を増やしている。今は抑止できているが、注意して見ておく必要がある。

 

2006年に台湾海峡情勢悪化も避けられない米中の衝突

 

 ――二〇〇八年の北京五輪後に、台湾海峡情勢が不安定化するとの見方があるが。

 

 その前に悪化することも考えられる。具体的なタイミングとして二〇〇六年という説もある。

 

 中国が台湾統一をあきらめることはないだろう。統一できるかできないかは、地域大国としての鼎(かなえ)の軽重が問われるからだ。台湾海峡の緊張は今後ますます高まることは間違いない。

 

 ――現時点で、中国に台湾を武力侵攻できる能力はあるのか。

 

 仮に台湾上陸が成功したとしても、毎日継続して、膨大な量の武器、弾薬、食糧を運ぶことは不可能だろう。つまり、第一波の上陸が成功しても、補給が続かないということだ。その意味では、今のところ、中国が台湾を武力で統一できるとは思えない。

 

 ただ、怖いのは中国の軍人や軍事専門家が、米国は介入しないので、武力で統一できる

 と勘違いすることだ。中国は情報が遮断された社会であり、外から客観的な情報はほとんど入ってこない。自分たちはできると過信する恐れがある。

 

 ――中国は台湾に向かって約五百発のミサイルを配備しているといわれるが。

 

 台湾を統一する上で、五百発のミサイルなど、脅迫以外にほとんど意味がない。例えば、

 NATO(北大西洋条約機構)軍は七十八日間にわたってユーゴスラビア・コソボ自治州に二万三千発の爆弾と三百十発のミサイルで攻撃を行ったが、それでもコソボは「参った」と言わなかった。いくら空から爆弾やミサイルを落としても、抵抗する意思のある国民に対してはあまり効果がない。

 

 ただ、心理的に台湾の人々を脅かすことはできるであろう。中国はそれを狙っている。

 

 ――三月の台湾総統選では、独立派の陳水扁総統が再選された。

 

 独立派が二回続けて勝ったので、中国との統一派がカムバックする芽はなくなったと見ていい。これまで日和見を決めていた官僚や軍人らも、台湾独立を支持する姿勢を示し始めている。この動きは加速する見通しであり、中国にとって統一はますます難しい状況になるだろう。

 

 ――米国は中国をどう見ているのか。

 

 現時点では対テロ戦争のために、中国とあえていい関係を保っている。しかし、米国の長期的戦略からいうと、中国とは衝突コースにある。このままでは米中両国がぶつかることは避けられないだろう。

 

 ――中国が空母を保有する見通しは。

 

 中国が米国のように航空機を連続して発射させられる能力を持つ航空母艦を造ることはほぼ不可能だ。問題は甲板上から航空機を飛び立たせるためのカタパルトで、米国製品を嫌うフランスでさえ米国から輸入せざるを得なかった。まして中国がそれを手に入れることは絶対にできない。

 

 空母を造ったとしても、一隻では役に立たない。それを守る護衛兵力が必要となり、莫大な費用がかかる。また、故障などを考えると、常に一隻を運用するためには最低三隻が必要になる。

 

 中国の空母は、周辺諸国にとって心理的には大きな圧力になるであろうが、軍事的には全く意味がないばかりか、中国にとって経済的負担も重くなるであろう。

 

 ――台湾海峡の安定のために、日本が果たす役割は大きいのでは。

 

 結局大事なのは日米安保条約だ。これがしっかりしていれば、台湾海峡の衝突を抑えられるだけでなく、今後、五十年間はアジアの安定は保たれると私は見ている。

 

 そのためにやらなければならないことは多い。自衛隊の行動を制約する集団的自衛権行使の問題と海外派遣の問題を解決する必要がある。

 

 武器輸出三原則の見直しも行わなければならない。少なくともこの三つを解決すれば、日米安保は当分安泰だといえる。

 

 かわむら・すみひこ 昭和11年、鹿児島県生まれ。防衛大卒。同35年、海上自衛隊入隊。

 対潜哨戒機パイロット、在米日本大使館防衛駐在官、第5航空群司令、第4航空群司令、

 統幕学校副校長などを歴任し、平成3年退官。現在、川村純彦研究所代表、岡崎研究所副理事長などを務める。

 

(聞き手=政治部・早川俊行)世界日報 掲載許可済み)

 

 http://www.worldtimes.co.jp/special2/china5/040816.html 
 
http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/k6/160826.htm

 

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